水がある限り金魚は泳ぐ

本と読書と映画とドラマ、そして雑文。

映画

『エクソダス 神と王』〜将軍から良き夫。人生には割合がある

難しい映画だと思う。 いろいろな違和感が頭をよぎる。専門的な部分はどうなのかという指摘があるだろうし、それは至極当然のことだとも思う。自分の生まれ育った国、宗教、慣習などを正確に捉えてない作品はあるものだし、時に、日本とは言い難い日本も何度…

「それでも夜は明ける」〜痛みと理不尽の世界に未来はない

1861年から1865年にかけてアメリカで起こった南北戦争。それ以前、1841年にワシントンD.C.で誘拐され奴隷として売られたソロモン・ノーサップの体験記がベース。 「PLAN B」の名前がオープニングにあったことから、ブラット・ピットが所有する映画制作会社が…

書きにくい、やりにくい

専門家ではないので書けないなと思うことがある。たいした影響力もないが、読んでもらうことを意識すると読む人の立場になれば書けないと考えることも。または言葉を選んで、相手を慮って、うまく話がつながらなくなる、のでは、ないか?と自問自答すること…

「ゴールデンスランバー」〜逃走劇とギリギリのライン

事の始まりは、ギリギリのところで踏みとどまった友人の死。そのとき、画面は逃走劇が最高に面白くなるカメラワークになる。テープが切れた、ファンファーレがなった、主人公の人生が切り替わる、瞬間。位置がわかる、爆破がわかる、敵がわかる、組織が見え…

「ALONE アローン」〜手探りでどうやって生きるのか。

一面の砂砂砂。 地雷が埋まっているのはわかっていても、 どこに埋まっているかはわからない。 先を後ろ向きに歩いていた相棒は、足を吹きとばされた。のちに彼は死んで、ひとりぼっちになった兵士は、片足を、固定したまま動けなくなっていた。カシャ。地雷…

オペレーションクロマイト〜成功という結果に含まれる負の空席に座る男たちの戦争〜

ハリウッド映画以外の映画をみるのは、世界を広げる作業だと思う。私は朝鮮戦争を語れるほど詳しくないし、感情移入ができるわけでもない。名優リーアムニーソンが立っているだけで語るその存在感を楽しむことくらいできる映画ファンで、マッカーサーを知っ…

「残穢【ざんえ】 -住んではいけない部屋-」〜ミルカ、ミナイカ ミエナイカ

背中を向いていると聞こえる、掃除をするような音のする部屋。橋本愛演じる久保さんの手紙を雑誌編集者から受け取った竹内結子扮する、作家である私。いつのまにか二人は共に行動するようになり、久保さんが住んでいる部屋での現象は、部屋ではなく、場所に…

「ウルフ・オブ ウォール・ストリート」〜良いも悪いも人生には結果が伴う。

この作品の大きな特長は3時間あることだと思う。 ジョーダン・ベルフォードには、セールスという特技がもともとあったんだと思う。それをブラックマンデーとマシューマコノヒー(ブローカーの先輩役・ゲスト出演っぽい)に見事に捻じ曲げられ、一直線に教え…

「エイリアンVS.プレデター」 〜人類ではない生き物たちの定義

映画には人類以外の生物がよく出てくる。その人類以外を創造したのが、人類だったりする。だから映画の中にでてくる人類以外の生き物もまた人類の一側面じゃないだろうか、と思ったりする。 卵からでてきた、カブトガニのやわらかいのが、人の顔にはりついて…

大杉漣さんへ。楽しい日々をありがとう、これからもよろしくです。

一番最近、大杉漣さんの声を聞いたのは、「ROOKIES (ルーキーズ) 」というドラマの校長先生の役だった。姿を観たのはよくわからないが、すぐ思いついたのは地獄大使のお姿だった。でも、役を固定なんかできない役者さんだ。 何をやってもその役者さんだった…

映画「羊の木」アンバランスこそ、人間

殺人を犯して服役していた6人が漁村に転入してきた。主人公は、錦戸亮さん演じる月末くん。市役所職員。登場人物が多いのに無駄のない流れ方、転入者の性格がかいまみれる端的なセリフ。前半は、「演出のうまさ」を強烈に感じてしまった。人を不安にさせる…

「超高速!参勤交代リターンズ」時代劇の楽しさ、ギュギュッと濃縮!

原作も読んだ!1作目も観た!そしてリターンズ、2作目だ! 超高速の参勤交代っていう、この映画の見所はちょっぴり薄まったけど代わりにぎっしり詰まっていたのは時代劇の楽しさである。 敵味方と言えど剣に生きる者同士は熱い! 寺脇康文さんと渡辺裕之さ…

「42 ~世界を変えた男~」ハリソンフォードの熱い闘いにうっとりした。

ハリソンフォードは、ドジャースの重役ブランチ・リッキー氏を演じている。特殊メイクをしてたらしいほどの変身っぷり。ワンマンでじい様な経営者である。ほとんどの場面は自分のお部屋で重役椅子に座ってる。部下はいつも立ちんぼだ。 タイトルロールの背番…

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の鑑賞をしたんですけどね。

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の鑑賞をしたんですけどね。 この場合「ですけどね」ってつけるところが個人的なこだわりだったりする。「おもしろかったんですけどね」「全然否定的じゃないんですけどね」。 実写版の「進撃の巨人」の方は、「ですけ…

「進撃の巨人」実写映画感想。「駆逐してやる」に至るまでの道程

エレンは実写も巨人になるとは思ってはいた。映画を面白くするならそうくるはず。そういう展開じゃないんなら面白くなるはずないから エレンが巨人として覚醒するまでが前編、でいいのだと思って観てた。だって、ウルトラマンでも仮面ライダーでも、どういう…

どの道にも茨があるのだ、当たり前ながら。

二つに一つ。選択することは非常によくある。選択の基準として非常にノーマルなのは、合理性だと思う。無駄がなく有用で有益。それも比較的短気な利益である。 または後悔がないように、「今」やれることをやる。明日になったら1年後、2年後10年後には出来な…

「スタートレック イントゥダークネス」揺るがぬ意志が受け継がれているのが嬉しい

クライマックスでエンタープライズ号がピンチに陥る。 艦長代理を務めるスポックは、ブリッジのクルーにも、待避を命じる。自分は、船と運命をともにすべく、座席ベルトを装着した。だが、きっぱりと、スールーはその命令を拒否する。拙い英語力だが私にも聞…

「ローン・レンジャー」なるほど、史実を疑うための映画なのである。

冒頭からローン・レンジャーとトントが銀行強盗をおっばじめる。正義の味方がなぜそんなことを?となる謎掛けは、映画慣れしていたら、「たぶん、理由があるんだろーうなー」くらいで、引っかかる程の伏線ではなかった。ディズニーだから子供向けの伏線だな…

「風立ちぬ」現実に勝てなくても生きていこうよ。

スタジオジブリ作品「風立ちぬ」鑑賞。 関東大震災と第二次世界大戦という天災と人災がチャンポンの時代である。主人公の堀越次郎氏は、零式艦上戦闘機の設計主任として有名。 美しい、という言葉が映画の中でよく出てくる。特に主人公は飛行機に絡むと、サ…

「ワールド・ウォーZ」繋ぎ止め、受け渡すのは、人間の存在証明

圧倒的な存在感の主人公がいれば、他の登場人物の存在感が薄くなりがちだ。しかし、この映画、ブラビ演じる国連職員ジェリー・レインが、未曾有の事態への対抗手段を読み解きは、彼が決死の道のりで出会った人々の存在なしにはありえないのである。 人類の希…

「夢」とか「希望」とか持っていますか?「カイジ」という映画から。

文字というのは、意味とは違う「服」を着ているときがある。映画やテレビでも天使役の服は白で、悪魔役の色は黒。だが実際は、腹黒い天使もいて、心優しい悪魔もいる。 「夢」とか「希望」とかという文字は、一見、白い服を着て輝いているようにも見える。で…

ホラー映画を盛り上げるTVショーの俳優たち

「スリザー」というホラー映画を観た。最初は、ときどきボケーと、B級を観たくなるのを満喫〜って程度でゆったり構えてたのだけど、主演の保安官役を観て「どっかで観たことあるなあ」と気になり始め、すぐ検索をしてみた。 ネイサン・フィリオン! 「キャ…

「ディファイアンス」〜カッコいいダニエル・クレイグとゴッタ煮の共同体

「スカイホール」でカッコいいダニエル・クレイグさんを観たのだけど、007以外の役柄でもやっぱりカッコよかったな。ああ、ホレボレ〜。いつぞや、めずらしいと言われているダニエル・クレイグさんのインタビューを「ビッグイシュー」で読んだのを思い出す。…

僕たちはどうやって生きていけばいいのだろう。

土田世紀さんの短編集「ノーサンキューノーサンキュー」の一篇が忘れられない。 あらすじ/ギャンブル好きで無職の大山は、小学生の娘・織江とふたり暮らし。ある日、知人の警察官・蒜山の家に金を借りに行くが、彼は妻と死別して独り身であるにもかかわらず…

「銀河ヒッチハイク・ガイド」日常はセコいから宇宙規模の考え方は実用に向かん。

5年前からお役所には、地球を潰すと掲示してあったらしいのである。そのお役所は、市役所でも県庁でも国会でもなくて、宇宙の全てを統括するお役所。 「銀河ヒッチハイク・ガイド」サイエンスフィクションである。 木を見て森をみろ、大局を見ろ、小さい悩…