水がある限り金魚は泳ぐ

本と読書と映画とドラマ、そして雑文。

日本のドラマ

「青天を衝け」〜輝きすぎて手をつけられない

「篤大夫、パリへ」 人が集まるところには勢力争いがる。 フランスなのかイギリスなのか、薩摩なのが幕府なのか。 志尊淳さん演じる杉浦愛蔵に元気だと言われるいつもの渋沢栄一、やっぱり、マイペースでパリでも節約生活を断行する。昭武の部屋をねぎろうと…

「青天を衝け」〜結局は立ち位置を固めることから

「篤太夫、青天の霹靂」 最初から腹を括っていたように見える慶喜さんは、将軍職を引き受ける条件とはいえないまでも、大鉈をふるう気満々である。この人は何気なく、「そーゆーことだったら好きにさせてもらうけど、それでよかったら引き受けるよん」的であ…

「青天を衝け」〜続ける工夫、終わらせない決意

「勘定組頭渋沢篤太夫」 「信用経済」が始まった。貨幣の原型を説明する吉沢亮さんは相変わらず軽快に演じるし、吉沢さんの栄一と対する慶喜は、飄々として笑みを堪えているようだ。おしゃべりな栄一を子供時代に貼られたレッテルは青年時代にも発揮して、そ…

「青天を衝け」〜ゴールは同じでも風景が違う道がある

「一橋の懐」 今回の放送は、喜作と道が別れるところが描かれる。幼い頃からいつも一緒にいた栄一と喜作。その二人が道を違える。比較的史実に忠実に描かれるとされている作品だから、巡り巡って、盟友となるのだが、その時の喜作は、栄一と同じ風景を見てい…

『新しい王様』〜テレビの外にあるテレビをお手玉にした視聴者への刃

ぐっさり、バッサリ斬られた気になって見続けたドラマである。 藤原竜也さんはわざとアップになって視聴者に訴える。その胡散くささ。アップの藤原竜也さんと、あの独特のイントネーション、アクション、表情があるようで無表情な感じ、整った顔に、整ってな…

『ここは今から倫理です』〜人間は考える葦である

たくさん言いたいけれど全部この一言に集約できる。 「人間は考える葦である」 人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。 彼をおしつぶすために、宇宙全体が武装するには及ばない。蒸気や一滴の水でも彼…

ある脚本家の伝えたいことを想像する〜「3年A組」と「ニッポンノワール」

あまりにも荒唐無稽と思える物語の中にある現実は、私たちが生きている現実とそう違わない、と思えるかどうか。そんなことを考えながら武藤 将吾さんの描くドラマを見ようと試みていた。 3年A組-今から皆さんは、人質です- ニッポンノワール-刑事Yの反乱- …

大杉漣さんへ。楽しい日々をありがとう、これからもよろしくです。

一番最近、大杉漣さんの声を聞いたのは、「ROOKIES (ルーキーズ) 」というドラマの校長先生の役だった。姿を観たのはよくわからないが、すぐ思いついたのは地獄大使のお姿だった。でも、役を固定なんかできない役者さんだ。 何をやってもその役者さんだった…

社会派小説の実写化ルート〜虚構を通してみえる現実

「悪貨」というドラマを観ている。最終回のあらすじを知りつつ。原作は島田雅彦氏。及川光博さんと黒木メイサさんに、なんとなくお気に入りの林遣都さん、なぜだかお気に入りの高橋克実さん。偏ったキャスト紹介である。 全てを背負わされてしまうミッチーの…