水がある限り金魚は泳ぐ

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社会派小説の実写化ルート〜虚構を通してみえる現実

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「悪貨」というドラマを観ている。最終回のあらすじを知りつつ。原作は島田雅彦氏。及川光博さんと黒木メイサさんに、なんとなくお気に入りの林遣都さん、なぜだかお気に入りの高橋克実さん。偏ったキャスト紹介である。

 全てを背負わされてしまうミッチーの悲劇っぷりを楽しむのだが、本当のところ何がいいたいかっていうと、日本銀行の株を持っている大物の犯罪を日本が裁けないっていう悪循環なのである。だから犯罪やり放題。でも誰かが罪を償わないと犯罪にけじめをつけられないから、日本の警察はミッチーを追い込むのである。

 エンターテイメントの中に日本の構造をうつしだす社会派の小説がWOWOWでよく実写化される。濃厚な小説が多いから全てが映像化されるわけではないが、実力派の役者の参加も多く、素晴らしい作品に仕上がっている。

 テレビドラマより一足先にみた「下町ロケット」「空飛ぶタイヤ」。原作も読んだ「震える舌」。もともと現実の一部から生まれ、虚構の要素を含みながら小説になり、再び虚構であるドラマになる。だが、人が演じることで共感をよび、その作品がもともと現実から生まれたことに気づかされる人が少しでも増えることを願いたいと思うのだ。

 「悪貨」という作品でも1万円札をばらまくミッチーに普通の人々が群がる姿が映し出されていた。そして考える。もし、私があそこにいたら、どんな顔をするだろうかと。