水がある限り金魚は泳ぐ

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「こんな感じ」という正解探し〜スケッチワークから

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 私の描いたスケッチがクライアントの一番偉い人までいって、OKもらったっていうお知らせがきた。対抗馬として、完成品のイラストが突如用意され、プレゼンのようなことになったらしく、なんとか乗り切り、採用になったということらしい。

 

 デザインもそうだけど、必要な分を必要に応じて割り付けるという側面の他に、「こんな感じ」というあやふやだが、正解のある部分がある。それは打ち合わせだと、顔色や言葉使いで情報をゲットできたりするが、新型コロナウイルスのこともあり、あまり人に会えない。それ以上に、担当者が変わるにつれ、電話やメール重視で、得ることができなくなってきた。

 クライアントは有名な方なので、どういう考えか推測する手がかりはある。しかも、かなり昔、お会いしたこともある。

 

 「こんな感じ」とは不思議な概念だ。スケッチをしているときに、「こんな感じ」であれば、相手の心が動きやすいと自分で納得できるときがある。指示されたスペースに効率よく美しく或いはカッコよく体裁を整えるのは技術の部分も大きいが、「こんな感じ」というオーダーを満たすためにどうしたら良いかには、具体性がない。だが、採用やOKサインという正解は必ずあるのである。

 自分の納得があれば、正解になることは多いが必ずでもない。

 だがその正解に向かい、あれやこれやと思いをめぐらす。

 

 スケッチだから、まだ完成品ではない。だから今欲しいのは、なぜOKだったか、だ。しょうがない、ということからか、消去法だったからか。または、決めないと前に進めないからと暫定的にか?後ろ向きの理由を考慮しつつ、気に入ってもらえた部分があれば、情報がほしい。

 「こんな感じ」にたどり着くのにはノウハウはない。具体性もない。だが、正解はあるのだ。クライアントはそれを見て、「そう、こんな感じ」という顔をされるのを私は何度も見たことがある。これは、仕事においては、幸せな瞬間といえるものでもある。

 

今週のお題「外のことがわからない」