水がある限り金魚は泳ぐ

本と読書と映画とドラマ、そして雑文。

エイミー・アッカーさんにワクワク〜海外ドラマ「The Gifted」より

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 Amy Louise Acker、エイミー・アッカーさん。日本では「パーソン・オブ・インタレスト」のルート役で有名なアメリカの女優さんである。私が初めて観たのは「エンジェル」という作品で、デヴィット・ボレアナスさん主演だった。心を病んだ少女のような女性で、悲しい純愛の末に死に至り、人間ではないがとても強い存在になってしまう。細身で繊細な印象だが、とても存在感のある演技をする美しい女優さんである。

 そして今、「The Gifted」で再会したエイミー・アッカーさんは、ミュータントの子供を抱えたおかあさんである。ルートのときの、ぶっとび姉ちゃんを封印して、看護師さんの知識をもった家族を愛する女性の役柄。意志の強さはちゃんと伝わる。バレエやダンスで培った身のこなしの美しさも少し封印。暴走する子供を常識で叱りつけたりする。常識が通じないルートとは似ても似つかない。

 

 とはいえ、「The Gifted」を観てると、エイミー・アッカーさんが何かやらかさないか考えちゃうのだ。何かに乗っ取られるなんて筋は嫌だな。本来の力を隠しているぐらいじゃなきゃ。神々しさか破茶滅茶か。あ、っと驚く新展開に、彼女が大きく関わることを願ってやまないのだ。

 

 まだ見始めたばかりだからこそ、エイミー・アッカーさんへの期待を記しておくべきだと思った。そして、打切りの悲劇に合わず、無事作品が終了したあかつきには・・。

 やっぱり、エイミー・アッカーさんはこうでなくっちゃ、と言いたいのである。

生きる望み〜脳の進化は可能らしい

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 脳は生まれてから思春期くらいで完成して、後は神経細胞が脱落していく。良くないタンパク質とかがくっついてダメになるらしいんだけど、ともかく、加齢による現象は避けようがないと考えるしかない。

 脳は謎だらけ。でも、最近はいろんな研究者が、脳はあながちダメになっていくだけじゃないと解明しつつある印象を受ける。

 脳の断面図をたくさん撮ったお医者さんの話は、楽器や将棋や他にいろいろ楽しいことした方の脳は育っているという。

 私が調べて解釈した限りだけど、神経細胞が脱落しても細胞から伸びるシナプスが多ければ情報は補完されると思うのだ。記憶は単独じゃなく、つながっている。赤い、りんご、くだもの、みかん、ビタミン、健康、などなど、と。だから、楽器や将棋なんかは、関連してつくりあげていくものだから自然と脳が発達するんじゃないかなって。

 ちなみに、脳は1割しか使ってないも都市伝説。神経細胞以外のグリア細胞にもちゃんと役割があることがわかってきている。

 

 前向きに楽しいことを探す。その成果が脳の研究の中に見出されてきたような気がする。

 

 

 

「大阪くらしの今昔館」〜かわらないもののすみか〜

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大阪くらしの今昔館」に行ってきた。

 大坂の町がすっぽり再現された屋内の展示である。人が多くて私はカメラで撮影をしまくってて本当なら観光気分になってもいいのに、実はタイムスリップを味わってた。つまりはこの時代の息吹が感じられるような展示になっている。

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 中国語、ハングルの言葉が飛び交い、英語も含め展示会場内は他多国籍仕様。着物が着れるイベントがあるせいか、和服の方も多い。そんななかでも日本語は聞こえてくる。昔自分の家がこんな感じだった、と。そう、私も少しだけ知っていると思ってた。子供の頃、というよりは、親戚の古い家という記憶。木目や地面、水の通り道、畳や干された洗濯物、時代は違えども、ここには私たちとかわらない普通の人がいたはずなのである。

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  そういえば、エレベーター前やチケット売り場でも行列になっていて、そのときはスマホで待ち時間を潰す方が多かった。だが展示の中に足を踏み入れたら、スマホは撮影のためだけになっていた。展示を観る、と、同時に、この時代を散歩しているようにも見えたのだ。

 観るべきものも多い。せっかくとってきた写真だから、後は観たものをアップしておこうと思う。

 

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勇気をくれるおばあちゃん〜小説「平成猿蟹合戦図」から

 

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 まるで実在の人物のように、しばしば勇気をくれるおばあちゃんがいる。

 小説「平成猿蟹合戦図」に出てくるサワおばあちゃんだ。調べたら96歳ってある。小説は群像劇で、登場人物はそれは魅力的なのだけど、サワさんは特別なのだ。

 年下(もちろんご高齢)で車椅子で移動する男性の話を聞いて、彼女は言うのだ。自分の周りのものを支えにしながらなら、立つことはできる、と。机・椅子・箪笥・棚・テーブルなどなど。一旦、車椅子にのれば、どんどん立てなくなる。だから彼女は、自分の力で最大限できることを探して立ち上がる。思い出しても涙が出てきた。よっこいしょとでも言いながら、ゆっくり立ち上がっている姿が浮かぶ。

  私だって、立ち上がるのもしんどくなることがある。そんなときサワさんが出てくる。励ますのでも叱るのでもなく、ただ、立ち上がり方を見せてくれる。しっかりしたものを視覚で確認して、体を預けられるかを感じて、体重移動して立ち上がる。ゆっくりでいい。よっこいしょっと言っていい。私は、同じように、やってみるだけ。

  一人でいるときは、意識が過去と現在を行ったり来たりしてる。その描写のすばらしさは、作者の吉田修一さんの技量だと思う。どうやってサワさんを生み出したのだろうかと考えをめぐらしてしまったりした。そして、私はちゃんと、サワさんが小説の登場人物だと知っているのだと気づく。なのに、サワさんが実在の人物のように勇気をくれる。

  サワさんは親切そうでにこやかな政治家に嫌悪感を示し、何も中身を示さないのに人なつっこさだけが武器の若い候補者には親近感を示す。そこに理由なんてない。きっとサワさんがすごいのは、理由なんてないことなのだ。理由の中にある、理想も目的意識も打算も生活観念も、もうなんもかも、ないもんだから残ってるのはサワさんだけ。だからサワさんがサワさんの人生を決めてる。

 

 理屈はよそう。ただ思い出せばいい。易きに流されず自分にできることを考えて立ち上がる姿を。

 

 

社会派小説の実写化ルート〜虚構を通してみえる現実

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「悪貨」というドラマを観ている。最終回のあらすじを知りつつ。原作は島田雅彦氏。及川光博さんと黒木メイサさんに、なんとなくお気に入りの林遣都さん、なぜだかお気に入りの高橋克実さん。偏ったキャスト紹介である。

 全てを背負わされてしまうミッチーの悲劇っぷりを楽しむのだが、本当のところ何がいいたいかっていうと、日本銀行の株を持っている大物の犯罪を日本が裁けないっていう悪循環なのである。だから犯罪やり放題。でも誰かが罪を償わないと犯罪にけじめをつけられないから、日本の警察はミッチーを追い込むのである。

 エンターテイメントの中に日本の構造をうつしだす社会派の小説がWOWOWでよく実写化される。濃厚な小説が多いから全てが映像化されるわけではないが、実力派の役者の参加も多く、素晴らしい作品に仕上がっている。

 テレビドラマより一足先にみた「下町ロケット」「空飛ぶタイヤ」。原作も読んだ「震える舌」。もともと現実の一部から生まれ、虚構の要素を含みながら小説になり、再び虚構であるドラマになる。だが、人が演じることで共感をよび、その作品がもともと現実から生まれたことに気づかされる人が少しでも増えることを願いたいと思うのだ。

 「悪貨」という作品でも1万円札をばらまくミッチーに普通の人々が群がる姿が映し出されていた。そして考える。もし、私があそこにいたら、どんな顔をするだろうかと。

 

お金のやりくり、他でなんとかするの「闇」

 消費税がアップするときに、それを利用した不正に関しては摘発するようなことをニュースで言っていたのを今も覚えている。そして、やっと、ニュースがでてきた。

スーパーホテルに勧告=消費増税分不払い

公取委2017年02月22日 17時45分 時事通信

 国内に100店舗以上を展開する「スーパーホテル」(大阪市西区)が、消費増税後に業務委託料などの増税分を支払わない「買いたたき」をしていたとして、公正取引委員会は22日、消費税転嫁対策特別措置法に基づき不払い分の支払いと再発防止を勧告した。 公取委によると、同社は2014年4月の消費増税後、計約100の事業者に対し、支配人業務や顧問業務の委託料などの増税分計約6500万円を支払っていなかった。うち約510万円は既に支払い、残りも近く支払う意向を示している。 スーパーホテルは「勧告を真摯(しんし)に受け止め、是正していく」とコメントした。  

 

 支出があれば、他でなんとかする。この節約志向にも闇がある。

 さっき私も仕事で、似たようなことを考えた。そして黙っていることに決める。できるだけ良心的に誠意をもって、関係のないところに影響を与えないように気をつかいながら。でも、損は他でなんとかしないとどこかでかぶることになる。

 

 お金の数字は最初の設定による。でも、その設定からでたマイナスはどこでかぶるのか。仕事は発注先から下へ下へと流れる。どこで止める?止めた上で、費用をきっちり含めた金額を設定するのは賢いことか、それとも価格を下げる努力をし続けてやばい風潮を助長するだけは悪なのか。

 

 ささやかながらもビジネスの金勘定をする身としては、損も得もあいまいにして、動き続けるしかない。

 

 そして、消費者として買い物をするとき、1円でも安いところを考え、その価格がはじきだされるにあたり、誰が儲け、誰が泣いているかを、気づきながらも、見て見ぬふりをしているのだ。「闇」だな、これは。

グロさを笑う、そして鑑賞する。

  海外ドラマの「ハンニバル」鑑賞中。なんとも形容しがたい死体が出てくる。観るのを憚れるような死体である。それは死体を切り刻むことに躊躇しない犯人が、まるで芸術のようにオブジェを作る。観るものはもちろん、その以上さに拒否反応を示すのだが、吐くほどその造形は黒くなく、むしろ、美しくさえ見えてくる。

 

 そうだ、ドラマの中の犯人は死体を死体以上のものとしてオブジェを作るのだから、物語の作り手である、実際にそのオブジェを作っているスタッフたちは、その犯人の美意識に叶うものを作っているはずなのである。

 

 普通の美意識なら許されざるもの。だが、犯人にその意識はない。

 

 という、造形を作るスタッフが作り出すのだから、それはもちろん死体ではない原材料で均整の取れたオブジェとなる。

 

 同時に思い出すのは「死霊のはらわたリターンズ」という海外ドラマ。血しぶきが売りのホラーものは、大量の血しぶきが定番になり、思わず、そのやり過ぎ感に笑みが溢れる。だからこそ、コメディ要素のあるホラーになっているのだ。もちろん、グロい造形のオンパレードなのだが。

 

 グロさに対する反応は一つではないのだ。それは人が機械でない証拠の一つとも言えると思う。