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「42 ~世界を変えた男~」ハリソンフォードの熱い闘いにうっとりした。

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 ハリソンフォードは、ドジャースの重役ブランチ・リッキー氏を演じている。特殊メイクをしてたらしいワンマンでじい様な経営者である。ほとんどの場面は自分のお部屋で重役椅子に座ってる。部下はいつも立ちんぼだ。

  タイトルロールの背番号を持つ役柄に比べると脇役。でも、私にはかっこよくて仕方なかった。だが、まず主人公の紹介をしておこう。

 黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンを演じるチャドウィック・ボーズマンは、現役の選手となんら変わらない才能あふれる野球選手を演じてくれた、と私は思った。映画の主人公になるような英雄的な選手ではなく、時代と葛藤しても、時代を切り開き、時代の先をいく英雄を演じてはいない。当たり前だ、彼は他のチームメイト、対戦相手となんら変わらない、野球選手なのだ。1野球選手。だからこそ、社会が歪んでることがわかる。ナイスプレイ!と言いたくなる演技だった。

 

 さて、話をハリソンフォードに戻そう。経営者として成功したから重役にいる。金儲けができる男である。しかも、時代を先取りできる男である。ジャッキーを見つけ出す臭覚も。さすが、ハリソンフォードが演じるだけある。見かけはかっこいいことないのに、やってることはホントかっこいいのだ。

 

 この映画観ながら何度も考えた。当時の黒人選手を雇うことこそ、本当に苦難の道。外からも内からも、苦情を言われる。それらのああだこうだを、ハリソンフォードは怒涛の勢いで退けまくり、当の本人、短気でいつ問題起こすかわからないジャッキーを丹念にそして考えるいとまを与えず、導きまくった。まさに疾風怒濤。

 ただのワンマンじゃない。観客のこともみてるのだ。金儲けの才があるから、ジャッキーで儲けられるのもみてる。ピッチャーを威嚇する盗塁、そして黒人の少年たちの英雄となることも。おそらく、初の黒人メジャーリーガーを作り出すことの一番のメリットさえわかっていただろう。

 さすがハリソンフォード。そんなことばかり思っていた。失敗したら大損害のビジネスを成功させるべく邁進してた。彼がいなければ、ジャッキーはいなかった。そう思うほどに。

 

 ハリソンフォードの熱い闘いにうっとりしながら、映画でも触れられていた、ブランチ・リッチー氏がなぜジャッキーを迎え入れたかにつながるエピソードが一番私を熱くした。だからまるで恩返しのように、黒人選手をスターにしたのだ。

 

リッキーが黒人選手を受け入れることに積極的であった理由としては、ブルックリンにおける黒人の人口の多さや将来的な黒人家庭の中産化を見越した上でのマーケティング戦略と、より効率的な選手の供給源の開拓のためであった。また、個人としても大学野球の監督時代に指導していた黒人選手が宿泊を断られ、自分の召使であると言ってようやく同じ部屋で泊まることができたという人種差別行為を体験しており、「この肌が白ければみんなと同じように泊めてもらえるのに」と涙を流して悲しむ選手姿が忘れられずにいたと語っているhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ブランチ・リッキー

 

 個人の力で、社会を簡単に変えられるもんじゃない。でも、日本選手も含め、メジャーリーグには普通に、才能ある選手が集まって野球してる。歪んだ社会が紆余曲折しながらも良くなったのだ。ハリソンフォードクラスが演じるブランチ・リッチー氏だからこそできたかもしれないが、世の中は悪くなるばかりじゃないのだと、思わせてくれる映画だった。