水がある限り金魚は泳ぐ

本と読書と映画とドラマ、そして雑文。

波打ち際の感触が良かったので、しばし同じ時間を楽しんだ

 

今週のお題「海」

 昔からよく私ははぐれる。

 ホテルで爆睡して起きたら誰もいなかったのは、仲間たちの思いやり故である。初めてグアムだ。旅程は2泊3日、出発前もバタバタしていたが、帰国してからも疲れるのは目に見えていた。爆睡でなんとか元気を取り戻したのに、仲間を待ちそのままホテルにいるのはつまらない。バッグを背負い、一人で青い空の下に出た。

 

ホテルが集まっているあたりの喧噪を抜け、海が見える方を目指した。シーズンをはずした旅行のせいか人は少ない。暑さを感じては、建物に入り、水を少しずつの飲んだ。たった一人、ならば、景色を楽しもう。肌で感じる太陽、空気感。でも、安全にだ。

 最初は海沿いを歩いていた。が、そろそろ帰路につく時間だと思い、踵を返した。同じ道をもう一度楽しむのも悪くなかったが、だんだん海を見ているだけなのはもったいなくなってきていた。禁止の看板もないのだ、思い切ってやってみよう。

 海と道を隔てる低い塀を乗り越えて、波打ち際まで出た。

 足を取られる砂の感触。それもまた楽しくて歩き始めた。ふと、前をみると欧米の肌をした金髪の若い女性が、波打ち際を裸足で歩いている。足が海に浸され、濡れた砂が色を変えている。

 楽しそうだ、と思った途端、私は靴を脱いでいた。

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 足元にひんやり、海の冷たさ。

 水が引けば、砂はちょうどいい具体に温かい。波がこなければ、そのまま温かい感触を、裸足で直に楽しむ。

 

 そして大きな波。

 目の前の彼女が波を避けようと陸へ進路を変えた。

 私も陸へ。

 

 いつしか彼女の、ほぼ横に私は並んだ。会話はなかった。気まずい雰囲気もなかった。ただ淡々と波打ち際の感触を楽しむ。気持ちいいでしょ、と彼女が言ってる気がしたが、そんなことはなく、気持ちいいですね〜と私は語りかけた気がしたが、実際は何も言えなかった。それでも、ずっと、同じことをしていた。

 

 生まれた国も違ってた。たぶん、言葉も。でも一緒に楽しんだグアムの波打ち際。もう何年も前の思い出だけど、今も陽光とともに記憶に残ってる。