水がある限り金魚は泳ぐ

本と読書と映画とドラマ、そして雑文。

大杉漣さんへ。楽しい日々をありがとう、これからもよろしくです。

バイプレイヤーズ ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~ DVD BOX(5枚組)

 一番最近、大杉漣さんの声を聞いたのは、「ROOKIES (ルーキーズ) 」というドラマの校長先生の役だった。姿を観たのはよくわからないが、すぐ思いついたのは地獄大使のお姿だった。でも、役を固定なんかできない役者さんだ。

 

 何をやってもその役者さんだったり、その役者さんがいろんな役をやる感じだったり、逆に憑依しちゃうタイプの役者さんもいる。でも大杉さんはその中間のところだったと思う。「ああ、大杉漣さんだったのか、その役」とあとでしみじみ気づく。実は観ている最中もちょっと気づいているのだけど、役の印象の方が強くて隠れていたりする。それは、大杉漣さんが見事にその役を表現しているからで、だから「さすが大杉漣さん」になる。でも決して主役を食ってはいない。

 

 最近は大杉漣さん、ますます脇役をされていても単なる脇じゃない感じさえしてた。役じゃなくて、そのもの、そんな人。いい人の役も悪い人の役も同じく、そうなるべくしてそうなった人。役に説得力がある、という程度じゃない。その人なのだ。

 

 「バケモノの子」という細田守監督のアニメで、監督が声の出演をした役所広司さんに対して、「そのものがいた」という感じの表現をされていた記憶がある。それは役所広司さんというすごい俳優さんに対する言葉としてはとっても適切だと思うけど、ベクトル違いの同じ意味で大杉漣さんにも私ごときで恐縮だが、贈りたい。「バイブレイヤーズ」のセカンドシーズンで役所広司さんも出演されていると聞く。お二人の出演シーンをぜひ機会があれば観てみたいものだ。

 私が大好きな映画で「大誘拐」というのがある。いくつかの場面が浮かんでくる中、静かな場面なのに火花を散らすようにすごかった二人の俳優さんの共演を思い出した。北林谷栄さんと緒方拳さんである。物語のラストの方の大切な場面である。大杉さんはこれから、もっともっと、いろんな役者さんと喜怒哀楽あいまみえ、いろんな場面を見せてくれたはずだったのだ。才能のある若い俳優さんとの一騎打ち、役所さんや渡辺謙さん、中井貴一さん、香川照之さん、堺雅人さんと並び立つ姿は考えただけでも楽しくなる。

 

 いや、きっと、もう大杉さんはいろんな役者さんと共演してる。そしてこれからも出演した作品の中で気づくのだ。あの、すごい役は、大杉さんだったって。だから、その作品はとても面白かったのだって。

 

 ありがとうございました。そしてこれからもたくさんある出演作品で出会えることを楽しみにしています。