水がある限り金魚は泳ぐ

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すべては祭りの日のために〜夜の岸和田、即興散歩

 2013年8月16日、19時。

 家族と別行動の時間が出来たため、岸和田の駅周辺を一人でテクテク歩くことにした。22時にはホテルに戻っていて欲しいということなので、約3時間弱の散歩である。

 ホテルで手に入れたデフォルメしまくり地図と、南海・岸和田駅の詳細な地図を見比べ、位置関係を把握することからはじめる。NHKの朝の連続ドラマの舞台で、岸和田城があるが、どこも閉館である。何やるねん?みたいな状態だった。

 

 それでも立ち止まったりしないのである。

 ぐるり、と見渡し気になる方に体を向けるのみ。

 即興散歩なのだ、その場で方向を決めて楽しむのだ。

 

岸和田だんじり祭り」の献灯提灯が上下左右壁のように数多灯っている。歩く道を照らすように、横に連なる提灯もある。

 よし、まつりの雰囲気味わうか!、と勝手にきめる。

 とはいえ、視線を上にやれば、紫のネオンロゴに惹かれてしまい、近づく。葬礼会館だった。デザインが入ってるぽいロゴをみるとフラフラと近づいてしまう習性は治らない。平たい大文字の書体、紫は大胆だけど業種的にいけるのか、と分析して、反対側の道へ。駅前のドラッグストア、一字違いで某有名スーパーと同じ名前のスーパーに入って一巡する。お菓子のディスカウントショップが10%引きだったので散歩のお供にと、せんべいやら飴ちゃんやらを仕入れる。この間、一切、時計を見なかった。

 

 駅前の商店街の電飾も、小さな法被のカタチをしていた。なんだか可愛い。

 

 商店街をどんどん歩く。

 ふいに、ホイッスルと男達の野太い掛け声が聞こえてきた。私の地元の秋祭りがなかなか威勢がいいので、思い出して血が騒ぐ。だんじりは担いでなかったが、見えないだんじりがあるかのように威勢の良く掛け声合わせながら若い男達がランニングしていた。これって、まつりのトレーニングなのか?と勝手に解釈した。途中、大きめの道路で数人の男たちが、道にチョークでカーブを書いていた。「掛け声ランニングマン」さんたちと風情が似ている。「当日はだんじり、このくらいの弧を描いて曲がる感じ〜」みたいな仕草があった。だんじりをカーブさせる時のための打ち合わせに思えた。

 祭りが近いのだな。

 祭りのための街の飾り、体力トレーニング、打ち合わせ、その他もろもろの工程。無事にまつりが行われるように、熱く、楽しく、過ごせるように。ここは岸和田、だんじりまつりの街だと痛感する。

 

 中古自転車専門店、ラーメン屋、焼き肉屋。作業服のお店もある。前方に大きなドームの建物が。あそこをラストにしようと決める。

 

 即興散歩の醍醐味のひとつ。

 自分の行く道は自分で決める。休憩もUターンもみんな、自分で決める。

 

 大きなショッピングセンターなので、着替え一式を買おうと衣料品売り場へ。「ほたるの光」が流れてきた。レジで閉店時間を聞く。20時と言われて時間をやっと確認する。飲食店は22時までやってる店もあるから、ショッピングセンターの地図をゲットして位置把握。残り時間を読書にあてることにした。池井戸潤さんの小説を読みながら珈琲を飲む。ゆったり時間は流れるが、ゆっくりもしてらんない。

 

 初めて訪れたところはどこにいくにも、距離感覚が掴めないから戸惑うものだ。ショッピングセンターでも帰路へ向かうため出口探しをしてしまった。何度も行ってる場所なら広くても何も考えないままに、ルートがとれる。だが初めてだとそれもなかなか。

 だからこそ、即興散歩。大体の位置把握して、体が向いた方へ歩きだす。時には逆方向に歩いて、ぐるっと建物一周なんてことも。ヘトヘトになりながら、苦笑い。

 

 自分でやってみて、出る結果に苦笑い。失敗もあるさ。

 でも目的は失わずに。ここで「岸和田だんじりまつり」が行われる。そのための熱気を短い時間だが、しっかり味合わせてもらった。感謝。

 

 今回の即興散歩は一直線でわかりやすい。道を聞くことなくすんなりホテルに戻る。

 

 「ただいま」とノックがする。家族がホテルに戻ってきた。

 「おかえり」。ちゃんと出迎えてあげられた。