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水がある限り金魚は泳ぐ

本と読書と映画とドラマ、そして雑文。

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「夢」とか「希望」とか持っていますか?「カイジ」という映画から。

 文字というのは、意味とは違う「服」を着ているときがある。映画やテレビでも天使役の服は白で、悪魔役の色は黒。だが実際は、腹黒い天使もいて、心優しい悪魔もいる。

 「夢」とか「希望」とかという文字は、一見、白い服を着て輝いているようにも見える。でも、その中身が天使だとは限らないような気がする。 

 

 漫画でも有名だが映画でまず、「カイジ 人生逆転ゲーム」「カイジ2〜人生奪回ゲーム」という作品に触れた。演技派の俳優さんをたっぷりつぎ込んでいるから、観ていて飽きない。もちろん、演出も楽しませることに慣れた方がされているから、観る側は「のっかって」いればいいのである。

 藤原竜也さんが演じるカイジくんは、映画の冒頭はあまりカッコよくない。だが、ピンチになったら、どんどんカッコ良くなる。特に命がけのゲームに挑むときは、本当にカッコいい。

 そのとき、彼には「夢」と「希望」がある。

 どん底から抜け出して自由になりたい、という「夢」。

 このゲームに勝ったら自由になれる、という「希望」。

 地下に堕ちる前のカッコ良くないカイジくんには、「夢」も「希望」も無かったような気がする。

 さらにカイジくんと一緒に、命がけのゲームに挑み、死んでいった登場人物たち。彼らが持っていた「夢」「希望」は、儚く消え去る。建設途中の高層ビルの上層階に架けられた細い鉄骨を渡れずに転落している人々の悲鳴が響き渡り、かろうじて残った登場人物達の悲痛な顔に目を覆いたくなる場面もある。

 

 ざわ・・・ざわ・・・。

 心かき乱す心の声に従い、命がけの勝負に挑む登場人物達。

 

 

 そこまでの状況が日常の中にない私は、カッコ良くない方のカイジくんなのだろう。「夢」とか「希望」とか、ホンキで持ってないのだ。でも、カイジくんと同じような「夢」や「希望」は正直、いらない。

 

 「夢」とか「希望」とかが着ている天使のような白い服。ドン底から這い上がるために、すがるのは、理解できる、理解できるのだが。服が白いからといって、天使とは限らない。

 欲望の沼に誘う、悪魔かもしれないのである。