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水がある限り金魚は泳ぐ

本と読書と映画とドラマ、そして雑文。

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僕たちはどうやって生きていけばいいのだろう。

 土田世紀さんの短編集「ノーサンキューノーサンキュー」の一篇が忘れられない。

あらすじ/ギャンブル好きで無職の大山は、小学生の娘・織江とふたり暮らし。ある日、知人の警察官・蒜山の家に金を借りに行くが、彼は妻と死別して独り身であるにもかかわらず、きちんと掃除の行き届いた部屋に住み、酒のツマミも自分で作れる几帳面な男だった。寂しさを紛らわすため、ゴルフにラジコン、バードウォッチングと趣味に打ち込もうとする蒜山。一方、そんな気晴らしすら見出せない大山は、夜間、街に出かけてはベンツのエンブレムばかりを盗み続ける…(第1話)。

 http://www.shogakukan.co.jp/comics/detail/_isbn_4091885624

  私の頭から離れないのは、あらすじから離れたところだったりする。趣味に打ち込む蒜山は、どの趣味もかなりのスキルを発揮しながら次から次へと止めていく。理由は、「飽きる」からだ。例えるなら、初めて自転車に乗れた時。補助輪がとれたとき、周囲の大人が喜んでくれてる様、一人で行ける距離が伸びたわくわく感、そのすべては、しばらくすると「普通」になってくる。

 それは、いつまで、楽しいのか。

 私たちの「楽しい」には期限がある。その期限が死ぬまでならばメッケものなのだろう。能力や意識や気づきなどさまざまな要素によってその期限は変わる。とあるバレエ漫画の天才少女にとってのバレエは空気のようなものだったがその舞台は誰をも魅了した。もちろん、主人公はたくさんの練習をして、作品とは、表現とは、ライバルとの葛藤に時間を費やす。

 「つらい」を乗り越えていく対処法でもあり、希望になるのが「楽しい」である。だが「楽しい」の最中には、それが期限付きであることを人は意識しない。当然だ。「楽しい」が終わった後のことなど考えたくない。だが、好物を最後まで皿にとっておく発想もあるから、どこかで、いつかは終わることに気づいているような気もする。

 新しい「楽しい」を探すことが前向きな姿勢ならば、また期限がやってきたらどうするのだろう。また探すのか。気力や体力があるうちはまだいいだろうが。

 

 近代以降に個人主義という考え方が広まったといわれてる。ブラジャーは発明されてから100年もたってないのだ。人間が個人についてあれこれ言わず、時代毎の支配者に対応するのに必死だった頃は、または、生きることに精一杯だった頃、遡れば原始の時代などは、と、考えを巡らせると横道それるから、このへんのことは、とやかく言わない。

 

 「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」という映画は、楽しいも、つらいも、希望も絶望も挫折も、サラリーマンという世界のひとつの要素だという。僕らは、サラリーマン、それがサラリーマンさ、というひとことでお互い笑い飛ばし、ビジネスの世界で騙し騙され丁々発止が繰り広げられる。

 では、サラリーマンという世界が終われば、楽しいもつらいも、希望も絶望も挫折も、全部、なくならないか。でも、答えは知りたくない。

 

 またまた、漫画作品より。「勇者ヴォグ・ランバ(1)」 (アフタヌーンKC)を引き合いに。あらすじと全然別のところで、こだわるんだけどね。

漫画界注目の庄司創初連載作品! 化石燃料の発見以前に核開発に成功した異世界を舞台に、脳とサーバーを無線接続し、個々人が苦痛を感じたら脳に演算を送り込んで消失させるペインフリーという社会システムの変革に挑んだ英雄の活躍を描く冒険譚。人間と社会のあるべき姿を論じつつ、演算による現実化技術「発現」、完全な人造生命体「這脳」などこの異世界独自の現象を駆使し描く新しきSF活劇、完結です!

 http://www.amazon.co.jp/勇者ヴォグ・ランバ-2-完-アフタヌーンKC-庄司/dp/4063878724 

 「ペインフリー」という苦痛を感じなくなる社会システムのことだけでも話が進むんだけど、一番気になったのは、ラスト。主人公が説明した台詞でもない。だが、時間がかかり効率の悪いことだが、とても大切なことが語られていた。一言でいうならば、戦争を回避できる可能性を一番秘めているのは適度な「人 対 人」。そそ、適度な。何がよくて何がいいのか、正解のないものが、一番、世界を安定させる。

 「つらい」が続き、「楽しい」はすぐ、期限切れ。そんな世の中になってきているようだ。それでもいろんなところで、善悪ひっくるめ戦っているような気がするのは、気のせいだろうか。

 

 

 

年間3万人の自殺者に思う。日本は一度失敗してもやり直せる社会になれるのか?

http://www.taharasoichiro.com/cms/?p=1050

  

自殺や未遂の労災認定 最多に

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130621/k10015478221000.html