水がある限り金魚は泳ぐ

本と読書と映画とドラマ、そして雑文。

『ここは今から倫理です』〜人間は考える葦である

たくさん言いたいけれど全部この一言に集約できる。 「人間は考える葦である」 人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。 彼をおしつぶすために、宇宙全体が武装するには及ばない。蒸気や一滴の水でも彼…

高騰した野菜の、その後の展開

鍋の季節である。でもなかなか土鍋が出せない。というのは、材料を買えないからだ。白菜、大根が特に。 2018年1月27日土曜日のNHK、関西のニュースより。大阪の中央卸売市場の情報である。 特に深刻なのが葉物野菜です。 ▼九州や和歌山産などのダイコ…

戦争の根回し〜アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ10の法則』

戦争は突然起こる、という話を聞いたのは動画で観た「TED」の講演。ジャーナリストさんがご自分の体験を語っていたように思う。いつものようにショッピングをしていた大通りに、突然、轟音をたて、戦車がやってきた。日常はプツッと切れて、戦時下に早変わり…

勇気をくれるおばあちゃん〜小説「平成猿蟹合戦図」から

まるで実在の人物のように、しばしば勇気をくれるおばあちゃんがいる。 小説「平成猿蟹合戦図」に出てくるサワおばあちゃんだ。調べたら96歳ってある。小説は群像劇で、登場人物はそれは魅力的なのだけど、サワさんは特別なのだ。 年下(もちろんご高齢)…

社会派小説の実写化ルート〜虚構を通してみえる現実

「悪貨」というドラマを観ている。最終回のあらすじを知りつつ。原作は島田雅彦氏。及川光博さんと黒木メイサさんに、なんとなくお気に入りの林遣都さん、なぜだかお気に入りの高橋克実さん。偏ったキャスト紹介である。 全てを背負わされてしまうミッチーの…

あのときのように倹約する生き方

モノの価格設定というのは、価値が認められるものならば買えるではないか、というものにされていることが多い。 あと100円。 それで100円以上の価値があるなら100円だすことは損ではない。まるで、消費者のためにあるような価格設定なのだが、100円の出費が…

どこから提供された情報を私たちは見ているのか。〜SMAP騒動と戦争の可能性〜

2016年1月18日のスマスマ。率直な違和感は、キムタクさんがセンターなことや中居さんが4番目に発言したことではない。 「この人たちはもっと、演技が上手いはずなのに」 ということである。 演技であるか否か、本音の発言か台本があるか、はたまた報道されて…

2013年8月。戦争を疑似体験した思い出を掘り起こしてみる。

お盆を過ぎても暑い日々が続く。 戦争を知らない世代にとっても、「夏のイメージ」の中に戦争はあると思う。いや、思うじゃない、あるはずだ。物心ついた頃に、8月15日が終戦記念日だという話題がどこかで起こる。日本中のどこかで起こり、そこにも子供がい…

「進撃の巨人」11巻〜クオリティを維持し続ける心意気にワクワク。

「進撃の巨人」11巻、発売日当日に購入、即座に読破。 正直、ワクワクした。物語や絵だけじゃない。 作家さんご本人が想像する以上に作品が売れたのにも関わらず、作品のクオリティが維持されていることに、だ。人気者になれば、それだけ仕事は過酷になる。…

「かさをささないシランさん」読後の思考が夏の夜を眠れなくするかも。

今週のお題「夏に読みたい1冊」 「かさをささないシランさん」は、リア充の一般的な男性が、雨の日に傘をささなかったことが理由で逮捕されて、監禁されてしまう物語を描いた絵本である。先に言っておくと、最後にはちゃんと希望がある。 読了後。 そこそこ…

「丕緒の鳥」アナログの思考を踏みしめ、未来へ挑め。

登場人物たちの心が逡巡に逡巡を重ねている。簡単に決めればラクなのに、簡単に決められず、時には他人に委ね、他人に甘え、他人にぶつかり、それら他人から受けたものが全部、自分に返ってきて、再び、悩む。 小説を読んでいると、ときどき、人と人は通じ合…

【そうだ、選挙に行こう】投票しとかないと国はいつか落ちぶれる。

2013年参議院議員選挙は 7月4日(木)公示、7月21日(日)投開票になる。 徒然に覚え書き。 宣伝カーや街頭から聞こえている「大阪には○○が必要です」って誰が決めたん? 「○○を助けてください」っていうのは、正直すぎる。投票は人助けじゃねえ。 理路…

「暗殺教室」世の中の仕組みをわかりやすく解説してくれる。

自分よりも格下の存在を意識させることで「普通」以上を服従させる仕組みは何も物語りの中だけじゃないのである。 10個パンを持ってる人がいる。 5個を1個づつ側近の部下5人に渡す。 側近の部下は自分の配下達にに半分を渡す。 配下達はまた半分を自分の手…

Googleとソニーの本に「夫婦」の物語をみた。

「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」という本を読んだ。辻野晃一郎さん著。 辻野 晃一郎(つじの こういちろう) 1957年福岡県北九州市生まれ。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科卒業、ソニー入社。同社の海外留学制度により渡米、88…

僕たちはどうやって生きていけばいいのだろう。

土田世紀さんの短編集「ノーサンキューノーサンキュー」の一篇が忘れられない。 あらすじ/ギャンブル好きで無職の大山は、小学生の娘・織江とふたり暮らし。ある日、知人の警察官・蒜山の家に金を借りに行くが、彼は妻と死別して独り身であるにもかかわらず…

「模倣の殺意」は得した気分になれる作品。

被害者の名前から推測できることは多い。いや、登場人物の名前からも。海外ドラマの吹き替えを聞いていると、大物声優さんぽければ、何かに関わっているとみて大方間違いない。 登場人物が多くバラバラに動いているから、性格が際立っている。その性格のピー…